それは深呼吸のようなもので

キロク。キオク。

ミュージカル 深夜食堂をみた。

100年に1度書いては数ヶ月で記事を非公開にする謎ブログの出番がやってきました( 笑 )


深夜食堂
あの淡々とした雰囲気が大好きな作品で
その世界観がどう出るのかな?と思ってました。
わたしは再現を期待している訳ではないので、寄せる似せることを期待している人に筧マスターは少し違うかもしれません。でもすごく良かった。


良質な小劇場作品。
五感フル刺激ミュージカル。
丁寧に、それは料理のように、丁寧に作られ作品だった。
感情をとりこぼさないように、すごーく丁寧だった。

夜にカウンターで飲んだり食べたりする
というのは
あー帰りたくないなー
今日いいことあったから誰かと話したいな
なんか誰かに話を聞いてほしいな
ただ酒が飲みたい(笑)
とかいろいろあるんです。

でも居場所がないと思った時、そこは居場所だし
そこはただの飲み屋ではなく、帰る場所なんです。

行きつけの店がある人にはわかる
酒呑みにはわかるポイントが本当に沢山あります。
なんで同じ店で飲んでるだけで仲良くなるの?出会いってこと?なんてよく言われるけど、違うんだよ~~!それとこれとは違うの~!笑

人生の余分なところ かもしれないけど
大事な場所にそこはいつしかなっていく。



前置き長い~!!!!

深夜食堂は深夜にオープンします。
舞台の上に路地の各々の店の灯がともり雑踏がそこにみえてくる。
転換はないので舞台の半分がカウンター。
各役の思い出や気持ちや人生が再生されるとき、そこはどんな場所にでもなる。

M2 深夜食堂
この歌の歌詞がとっても素敵だった。
路地裏のひだまり。この表現が沁みて仕方なかった。


この人数なの?というぐらいみんながいろんな役をしてて、それぞれの役には良いところも悪いところもあって。でもそれが人間。
そういうところもこの作品の良さで、それが消えていないくて本当に良かった。


いろんな人がいて、その人たちの喜びとか悲しみとか悩みとか苦しみとか言えない気持ちとかそういうのって誰かのどこかに共感出来ると思う。



藤重さん演じる 忠。
この忠の普段はふざけてるけど、あさりの酒蒸しのエピソードとして大事な話をした時の背中がとてもとても小さかったことと、マリリンの幸せを泣きながらも喜んだ背中が大きかったことは忘れられない。
自殺しようとした母親の前で食べたあさりの酒蒸し。死ねなかったと後に語った母親。
年老いて飲んでは荒れて寝ている母親に文句言いつつ支える息子。
笑ってる人の心の奥底のもの。普段は絶対言えないけど、お酒の力を借りて誰かに吐き出した時…少しだけ救われるんじゃなかろうか。
忠は、小寿々さんに聞いてもらえてよかったよね。

そんな田村のくんの小寿々さんはゲイバーのママなんだけど、真っ直ぐな人。彼が?彼女が傷つき心に抱えた思い出の味を食べている真っ直ぐな人。
あれは自分を責めてもいたんじゃなかろうか。
彼がいう、竜ちゃんにいう「分け合うと美味しい」って何気ない言葉にほんとーーにグッときた。
ひとりじゃわけあえない。でも大抵の人は一人で生活している、だからこの店で酒を注ぎあって、たまには分け合って食べるんだなと。
そしてソロは泣くよ!!
小寿々さんが寒空で凍えてお店に入ってきた時、忠が凍えてるじゃないか!と背中をさすり、マスターが暖かいお茶を出してくれた。凍えてたのは身体だけじゃなかったとおもう。だから、あの時、小寿々さん嬉しかったしいっきに寒くなくなったんじゃないかな。
そういうちいさな温かさが詰まってる作品。

ほんといい役だった!



竜ちゃんは、不器用でぶっきらぼうだけど根が優しい人。めっちゃ笑えるシーンもあるし、あとマリリンの相手のマッサージ師はほんと笑うww
そしてめっちゃ男前な方じゃないですか!驚き!

個人的にすきなのは毛利さん(ハゲ)←悪口じゃない
毛利さんの新婚旅行の写真をみんなできゃっきゃして見てるのも、横の繋がりいいな~って思う。
わかるーっておもったし、自分の事のように人のこと喜べるの素敵で泣けた。

お茶漬けの鮭、ゆうなちゃん。
ほんとーにかわいいの!超かわいい!!!
でもすごく優しい。毛利さんがハゲで振られた時に自分と重ねてしまったりして。
でも初恋の人が大食いでずっと食べていられたと喜んでる鮭はめちゃくちゃ幸せそうで、涙が出た。
あんなに食べるのは何かあるってマスターがいうんだけど、そういうダメだって思いながら食べちゃう時って心の隙間埋めたい時なんだよね、きっとね。
その寂しさがどこかに漂ってて、笑ってるのに寂しそうだった彼女が…ほんとうに幸せな顔をした時が泣けました。
そういう隙間って一人で食べてもうまらないよね。人と食べるとなんとなく埋まるんだよね。


歌手の千鳥みゆき。
売れなかった頃、マスターがポスター貼ってやるよ!CDも売ってやろう!って言うの。
そういう場所素敵だなーって泣いた。
夜の街はね、夜のお店は、垣根がぐんと下がる。良い意味でね。素敵。
みゆきは亡くなっちゃうんだけど、その後もみんながあの店で懐かしんでるのがよかったなー。
なんか、それが居場所だよね。

アイドルの風見倫子もそう。
誰でもない誰かになれる、そんな場所。

でも、自分にも戻れる場所。


あと、ソース焼きそばとかバターライスとか醤油とか牛すじ煮込みとか匂いがする!!ずるい!
めっちゃお腹へった( 笑 )
ほんっとすごい胃を刺激する。ソースはだめだよーあとバター醤油はもっとだめだよー(笑)

そして、東京での行きつけの店に
帰りに思わず寄り道した。
なんかくだらない話をしたくなった。
飲み屋で知り合った友達に会いたくなった。

キャッチーな楽曲があるかといえばそうではないんですよね。あ、でもじわじわスルメかな?。
エリアンナちゃんとゆうなちゃんの歌声が素敵だったよ~!!

でも、それが人生だよなーって私は思う。派手なことなんてさほど無くて。日々淡々と生活してくなかで、ちょっと心の拠り所が欲しかったりする。それが、行きつけの店とお酒とごはん。そこで出会った大切な人達。居場所なんだと思う。
もちろんそんなものなくても強く生きてる人達はたくさんいて、尊敬する。
でもやっぱりどこかに、寂しさとか弱さとかもろさをかかえてるひとたちを肯定してくれる場所は、平成が終わろうとも残っていくといいなと思いました。


誰でも、どんな人でも、全ての人を肯定してくれるミュージカルです。おすすめ!!!


あのぉーわたしはまた見たいです(飛行機をすぐ調べ出す)
ツイートすればいいレベルの感想ですが、ネタバレなのでここに書きました。